睡眠と覚醒コントロールする体内時計への強い影響が解明されてきたブルーライト。
世界的な睡眠医学の権威であり、睡眠とブルーライトに関する研究にも取り組まれている西野精治先生にお話をうかがいました。
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- Q1. 現在の日本人の睡眠とブルーライトの関係について教えてください。
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A1.
日本人の睡眠時間は先進国33か国の中で最も短いと報告されています。子供の睡眠時間も諸外国に比べ最も短い傾向があります。また、1960年代と比較すると、日本人の平均睡眠時間は、大人も子供も1時間程度短くなっており、こういった変化は近年急速におこっています。
そもそも睡眠は、一日のリズム、特に昼夜のリズムがとても重要です。自然に近い生活であれば、昼間は明るく、夜は暗くなるので、体温や自律神経、ホルモンの働きもそれに合わせて自然と変化し、眠くなります。それが現代の生活では、日没後も強い光に囲まれる環境になっています。いわゆる眠らない24時間社会です。
睡眠を引き起こすホルモンのメラトニンは、夕方以降に周囲が暗くなると脳の松果体という器官から分泌されますが、目からブルーライトが入ると、松果体でのメラトニン産生、分泌が強く抑制されます。
メラトニンは、松果体という小さい組織のみで産生され、他のホルモンと違い広く脳内で貯蔵できないという特徴もあるため、夜寝る前に浴びるブルーライトは、即座にメラトニン分泌を抑制し脳を覚醒させ、睡眠にとって大敵なのです。
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Q2.
近年、子供もデジタルデバイスを利用する時間が増えてきました。
子供の睡眠習慣をどのように守ればいいでしょうか。 -
A2.
子供も大人と同様に、現代は睡眠時間が短い傾向があります。特に、平日に比べ週末の起床時間が遅い子は、慢性的な睡眠不足になりかけている可能性もあります。
子供は自身で睡眠不足を自覚できないため、睡眠の問題で、イライラする、集中できないなどの症状が前面に出ることも多いです。また、激昂したり、兄弟や友達への暴言といった問題行動が現れることもあります。
睡眠不足の原因の一つには、スマホやPCの使用が考えられます。現代の子供たちにとっては、デジタルデバイスを使いこなす能力も将来のために不可欠であり、デバイスを取り上げることが一番の解決策とも言い切れませんが、就寝前にいたずらにゲームや、動画を見る習慣は極力改めるようにしてください。また、こういった行動で就寝前に脳を刺激させることも良質な睡眠を妨げます。
昼は外で日光を浴びさせ、夜は特にブルーライト等の強い光をできるだけ避けることで早寝早起きのリズムを維持できます。保護者が夜更かしだと子供も夜更かしになる傾向があるので、子供だけに押しつけず、保護者自身が睡眠への意識をもって、親子共によい健康、睡眠に良い生活習慣を身につけることが重要です。
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Q2.
近年、子供もデジタルデバイスを利用する時間が増えてきました。
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- Q3. 就寝前にブルーライトを避け、より良い睡眠を取るためにどんな工夫やツールが有効でしょうか?
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A3.
睡眠は、割れ物を意味する“FRAGILE”といわれるほど繊細なもの。光だけでなく、部屋の温度、湿度、または心配事や体の痛みなど、様々なことに影響を受けます。逆に言えば、睡眠を良くするアプローチも色々と考えられるということです。
最近、学童を対象に就寝前にブルーライトカットメガネを使用する研究を行いました。就寝前の3時間の装用を2週間続けてもらうと、1週目より2週目に、就寝時刻や起床時刻が早くなり、兄弟に対する暴言などの日中の問題行動が減少する傾向が見られました。つまり習慣として続けることが大事です。
デジタルデバイスについているナイトモード機能や、ブルーライトカットメガネのように手軽なものなら、負担なく続けられるでしょう。
まずは家族全体で、昼夜のリズムを意識して、夜間の照明はブルーライトの成分の多い、蛍光灯やLEDをさけ、寝室の照明は暗くして、ベッドにスマホやタブレットを持ち込まないなどの生活習慣を見直したうえで、その効果を実感して継続してみましょう。